全国で唯一財政破綻した街・北海道夕張市。
夕張市はかつて石炭産業で栄えた都市でしたが、経済的困難と財政破綻により、ゴーストタウン化してしまいました。
しかし、地域住民や地元企業の努力により、再生に向けた取り組みが進められています。
本記事では、夕張市の歴史と現在の姿、そして観光スポットや特産品を通じて地域の魅力を再発見します。
夕張市の再生のストーリーをぜひご覧ください。
財政破綻した夕張市とは?
夕張市の基本情報
夕張市の基本情報 | |
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由来 | アイヌ語のユーパロ(鉱泉の湧き出るところ)が訛ったものといわれています。 |
気温 | 年平均気温 7.1度 最高気温 30.3度 最低気温 -18.0度 |
人口(令和5年) | 6,531人 (男性6,531人、女性3,471人) |
世帯数(令和5年) | 3,973世帯 |
学校 | 高校:1校 中学校:1校 小学校:1校 認定こども園:1園 認可保育所:2園 |
医療機関 | 診療所:3か所 歯科診療所:4か所 |
友好都市 | 撫順市(中国遼寧省・昭和57年) |
アクセス | ・車の場合 札幌市内:約90分 新千歳空港:約60分 ・JRの場合 札幌市内:約70分(特急) 新千歳空港:約45分 |
1888年に炭鉱の町として発展を始め、かつては炭鉱産業の中心地として賑わっていました。
現在は全ての炭鉱が閉鎖されており、観光業や夕張メロンなどの農業が主な産業になっています。
全盛期では11万人もの人がいた街ですが、令和5年には約6,500人と大幅に減少しています。
高齢化率53.8%と過半数が65歳以上のお年寄りの街です。
しかし、現在は再建に向け復興が続いており、自然豊かな環境や田舎ならではの温かさ、その歴史的な背景を持つ魅力的な都市として注目されています。
夕張市の歴史と経済の変遷
簡単にまとめると・・・
- 石炭産業の繁栄により、急激に人口増加・都市発展。
- 石炭→石油のエネルギー政策シフトにより、石炭産業が衰退。
- 新たに観光業に力を入れるも過剰投資で失敗に終わる。
夕張市の成立と発展
夕張市は炭鉱が発見されたことをきっかけに1889年に設立され、主に石炭産業により繁栄しました。
初期の夕張市は日本最大の炭鉱産地の一つとなり、多くの労働者が集まることで急速に発展しました。
石炭の需要が高まるとともに、夕張市も成長し、街は賑わいを見せました。
学校や病院、娯楽施設が建設され、都市機能が整備されていきました。
高度経済成長期の夕張市
高度経済成長期と呼ばれる1950年代頃には、冷蔵庫、洗濯機、白黒テレビが一般家庭に家電製品が普及。
1964年には日本初・アジア初のオリンピックも開催され、新幹線や高速道路なども次々整備されました。
その爆発的な経済成長から石炭の需要がさらに増加し、夕張市は繁栄のピークを迎えました。
1960年代には人口が11万人を超え、多くの家庭が夕張市で生活を築きました。
しかし、1960年頃のエネルギー革命により石炭から石油へ需要が移ったことから、夕張市の経済も次第に衰退していきました。
観光業への転換と失敗
1980年代から1990年代にかけて、石炭の需要が衰退するとともに多くの炭鉱が閉鎖されました。
その結果、経済基盤が崩れ、2006年には財政破綻を迎えることになりました。
石炭産業の衰退後、夕張市は観光資源に乏しい地域でありながら観光業への転換を図ります。
1970年代には「夕張観光振興計画」が策定され、石炭博物館やスキーリゾート、映画館など多くの観光整備されました。
しかし、これらの観光施設は経済的な成功を収めることができず、夕張市の財政は次第に悪化していきました。
財政破綻したときには、市が自由に使える年間収入の8倍に当たる353億円もの負債を抱えていたそうです。
夕張市がゴーストタウン化した理由
簡単にまとめると・・・
- 石炭産業の衰退、観光業の失敗により収入源がなくなる。
- 職もなくなり、公共サービスも満足できるものではなくなり人口減少。
- 税収も減少し、さらに収入源がなくなるという負のスパイラルによりゴーストタウン化。
理由1:石炭産業の衰退
1つ目の理由は、エネルギー政策が石炭から石油へシフトしたことによる石炭産業の衰退です。
石炭産業が衰退したことによる夕張市への影響は2点あります。
- 経済的な影響
→石炭産業が衰退したことで失業者が増え、夕張市の収入となる経済的な基盤を失うことになります。 - 社会的な影響
→失業者が増えたことで、人口減少に伴う税収の減少。それよる公共サービスやインフラの維持が困難になります。
そのため当時の市長は石炭産業以外の新しい収入源となる産業を打ち出すため、観光業に力を入れます。
一時的に上手くいくものの、バブル崩壊とともに客足は遠のき、夕張市は完全に収入となる経済的な基盤を失い、人口減少を食い止めることができませんでした。
実際ピーク時の1984年と1991年の夕張市の歳入を調べると約56%も減少しています。
理由2:財政破綻の影響
2つ目の理由は観光施設への過大投資で負った多額な赤字による財政破綻の影響です。
石炭産業以外の新たな産業創出のために力を入れた観光業。
観光客のさまざまなニーズに応える総合観光を目指してホテルなどの宿泊施設の整備やスキー場、映画館など多額の投資を行いました。
しかし、バブル崩壊による景気低迷により採算が取れなくなり2006年に財政破綻することになりました。
その結果、歳入確保のために市職員の給与引き下げ、公営住宅使用料の値上げなど住民への負担が増え、人口減少を加速させることになりました。
現在の夕張市
簡単にまとめると・・・
- 映画のロケ地やスキーイベントなど観光地として再び再生を目指している。
- 歴史的な背景や廃墟を探索できることから国内外で再び注目されている。
- 夕張市外へのアクセスの良さと地元愛から若者が戻り始めている。
観光地としての夕張
現在の夕張市は、観光地としての再生を目指しています。
映画「北の零年」のロケ地として知られる夕張市は、多くの観光客を引き寄せています。
また、石炭博物館やスキーリゾートも観光資源として活用されています。
バブル期のような派手さのある観光スポットではないですが、歴史的な背景から再び注目を集めています。
廃墟探索や歴史的な背景に興味を持つ観光客が増えたことから、国内外から多くの観光客を迎え入れています。
地域振興のために様々なイベントを開催することで、地域経済の活性化を着々と進めています。
ゴーストタウンの現状
廃墟としての魅力
夕張市の廃墟は、歴史的な価値と神秘的な雰囲気を持つ観光資源となっています。
廃墟探索は、アドベンチャー好きの観光客にとって大きな魅力ですね。
また、廃墟は映画やドラマのロケ地としても利用されており、その独特の雰囲気が多くのクリエイターにインスピレーションを与えています。
地元住民の生活
夕張市の住民は、地域の経済的困難に直面しながらも、強い絆と地域愛を持って生活しています。
多くの住民が互いに助け合い、地域の再生に向けた努力を続けています。
現在ではコンビニやスーパー、ホームセンターなどもありますしバスの増便が実施されています。
札幌や千歳へのアクセスの良さから、若い世代が地域に戻り、新たなビジネスやコミュニティ活動を始める動きも見られるようです。
こうした取り組みが、夕張市の将来を明るくする希望となるといいですね。
SNSの口コミや体験談
実際に夕張市を訪れた人の口コミや体験談を見ていきましょう。
財政破綻した街、夕張市に行ってきましたが街は廃れ正にゴーストタウン
— ぐ (@ryoxts111) July 6, 2023
ただ飯は美味い😋 pic.twitter.com/Rmh25WCUfM
北海道夕張市の街を歩いた。
— 村中 (@ayatakaa_chan) March 29, 2023
世間で言われてるほどゴーストタウンでもなかったかな。廃墟は多かったけど、そんなの別に他の自治体でもよくある光景。地元民も歩いてて、お店もいくつか営業してた。財政破綻のイメージから、ある種の“見せしめ”の役割を負わされてるようで、なんだか不憫に感じた。 pic.twitter.com/rN5ZlmWY0M
帰りに少しゴーストタウンと言われている夕張市を見学。
— はやぶさ (@AyAbHA) January 1, 2023
寂れ感はあれど人には結構会う印象。この町の全盛期を見たかったと思いつつ、確かにそこには人の営みがありました。2020で止まったカレンダーはまさに"新品の廃墟"ですね。 pic.twitter.com/E4ctAvF7jP
ゴーストタウンといえば
— ニュー伊吹 (@ibukiinterpress) January 3, 2022
石炭産業の斜陽で人口11万人から8千人まで減少し財政破綻した夕張市がかなりシュールだったな。 pic.twitter.com/uxFmRMuRlv
夕張市の観光スポット
おすすめ廃墟探索スポット
夕張市の廃墟探索でおすすめスポット
- 北炭夕張炭鉱跡地:炭鉱の建物や設備がそのまま残されており、歴史の重みを感じることができます。
- 夕張炭鉱博物館:石炭産業の歴史や当時の生活を学ぶことができます。
- シューパロ湖周辺:自然と廃墟が融合しており、写真家や自然愛好家にとって魅力的なスポットです。
廃墟探索の注意点
廃墟探索を行う際には、いくつかの注意点があります。
まず、安全性を確保するために、適切な装備を持参し、事前に地元のガイドや観光協会に相談することが重要です。
また、廃墟は歴史的な遺産であり、破壊や落書きなどの行為は禁止されています。
観光する際は地域のルールを守り、尊重を持って訪れることを忘れずに廃墟探索を楽しみましょう。
特産品:夕張メロン
夕張メロンの歴史
夕張メロンは、夕張市を代表する特産品です。
1960年代に開発され、その甘さと香りで全国的に知られるようになりました。
夕張市でメロンが生産されるようになった理由は夕張市特有の気候にあります。
昼夜の温度差によって、効率よくたくさんの糖分を蓄えることができるので甘くおいしいメロンを作ることができます。
また、夏は湿度が低いためメロンの病害発生が少なく、農薬使用量が少ないのもポイントですね。
現在も夕張メロンの生産は市の農業振興の一環として推進され、高級フルーツとして多くの人々に愛されています。
夕張メロンの楽しみ方
夕張メロンは、そのまま食べるだけでなく、様々な方法で楽しむことができます。
例えば、デザートとしてアイスクリームやゼリーに使用したり、サラダに加えてフレッシュな味わいを楽しむことができます。
また、夕張メロンを使った地元のスイーツやお土産も人気で、観光客にとっては欠かせない特産物になっています。
夕張市の再生への取り組み
観光プロジェクトやイベント開催
新しい観光プロジェクトとして映画ロケ地ツアーや自然体験ツアーなどが企画されています。
また、地元の特産品を活用したイベントやマーケットも開催され、地域の魅力を発信しています。
毎年恒例である夕張メロンまつりの2024年開催は6月23日でした。
地元企業の取り組み
夕張市の地元企業は、地域経済の再生に向けた様々な取り組みを行っています。
例えば、観光業を中心とした新しいビジネスモデルの開発や、地元の特産品を活用した商品開発などが進められています。
チョコレートを中心とした菓子の製造販売を行う株式会社DADACAはマルハニチロ(株)夕張工場跡を買い取り、夕張市に新たな雇用を生み出すなど夕張市の復興に協力的のようです。
また、地域の若者を中心としたスタートアップ企業も増えており、地域全体が一丸となって新しい挑戦に取り組んでいます。
夕張市を支援しよう!
夕張市のふるさと納税返礼品おすすめ3選
第1位:夕張メロン(1玉で17,000円)
芳醇な香りと鮮やかなオレンジ色の果肉、そしてジューシーでとろけるような食感が特徴の夕張メロン。
糖度以上の甘みを感じることができ、まさに「メロンの王様」と呼ぶにふさわしい一品です。
第2位:夕張メロンゼリー(15個入で11,000円)
「夕張メロン」の果汁を使用したゼリーで冷やしてゼリーとしても、凍らせてシャーベットとしても楽しむことができます。
第3位:夕張屋ジンギスカン(250g×5パックで21,000円)
シンプルでよい素材にこだわりたいという想いから、野菜・果物はすべて北海道産。
お肉を夕張メロンを加えたタレに漬け込み、夕張産のメロンブランデーで味付けをした贅沢一品です。
夕張市のホテルおすすめ2選
第1位:フェアフィールド・バイ・マリオット・北海道長沼マオイの丘公園
夕張市役所までは車で40分と少し離れているものの、日本ハムファイターズの本拠地エスコンフィールドまで車で20分と広く観光したい人におすすめしたいホテル。
内装はとてもきれいで静かでゆっくりと自然を堪能したい人にはぜひ行ってもらいたいです。
>>フェアフィールド・バイ・マリオット・北海道長沼マオイの丘公園の詳細はこちらから
第2位:ユンニの湯
こちらも夕張市役所までは車で30分とやや遠いものの、温泉・露天風呂を完備しており夕食も夕張を存分に味わうことができます。
楽天トラベルでも評価4.3超えと夕張市でダントツの人気を誇っているホテルです。
まとめ
夕張市は、過去の石炭産業の繁栄から衰退、そして財政破綻という困難を乗り越えようとしています。
現在、観光業を中心に再生を図り、多くの観光客を引きつけているようです。
廃墟探索や夕張メロンなどの特産品を活用したプロジェクトが進行中で、地域の魅力を発信していますね。
地域住民と地元企業の努力が、夕張市の再生に向けた希望の光となっています。
夕張市に興味が出た方はぜひ一度訪れてみるといいかもしれませんね。
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